腰が痛い。それが何日も続いている。
そのうち、お尻から脚のほうにも、なんだか変な感じが出てきた。
こうなると、これは腰痛なのか、坐骨神経痛なのか。自分では分かりにくいですよね。
調べてみても似たような説明ばかりで、結局どちらなのか分からないまま終わる。
先にお伝えします。
この2つは、そもそも並べて比べるものではありません。
腰痛は「場所」の話で、坐骨神経痛は「症状の出かた」の話なんです。
ここが分かると、自分の状態をかなり整理できます。順番に見ていきますね。
そもそも、比べているものが違います
坐骨神経痛は、病名ではありません。
症状につけられた名前です。
坐骨神経の通り道に沿って、痛みやしびれが出ている状態。それをまとめて、そう呼んでいます。
「発熱」に近い言い方だと思ってください。
熱が出ているという状態を指すだけで、なぜ熱が出ているかは別の話ですよね。坐骨神経痛も同じです。
一方の腰痛は、「腰が痛い」という場所の話。
こちらも病名ではなく、腰まわりに痛みが出ている状態をまとめた言い方になります。
つまりこの2つは、対立するものではないんです。
腰痛だけの方もいれば、腰痛と坐骨神経痛が同時に出ている方もいます。腰はそれほど痛くないのに、お尻から脚だけがつらいという方も。
「どっちなんだろう」と迷うのは当然だと思います。
そもそも、どちらか一方に決まるものではないので。
腰痛は、どういう状態か
腰痛のうち、原因をひとつに絞りきれないものは多いといわれています。
腰まわりには、いろいろなものが集まっています。
背骨と背骨のあいだのクッション。骨と骨をつなぐ関節。それを支える筋肉と、筋肉を包む膜。
どこから来ている痛みなのか、外から見て分けるのは簡単ではありません。
感じ方としては、重い、だるい、詰まっている、という表現になることが多いです。
朝起きたときに固まっている。長く座っていると痛くなる。前にかがむとつらい。
痛みが腰のあたりで完結しているのが、ひとつの特徴になります。
腰から下に、線を引くように広がっていくことは少ない。
もうひとつ、腰痛には分かりやすい性質があって。
動きによって、はっきり変わります。
前にかがむと痛い。反らすと痛い。座りっぱなしのあとに立ち上がる、その一瞬だけ痛い。
こんなふうに、特定の動きや姿勢と結びついていることが多いんです。
逆に言うと、楽になる姿勢もある。
横になって膝を立てると軽くなる、というのはよく聞きます。腰にかかる負担が減るからです。
立っているときの腰には、体の上半分の重さがかかっています。座ると、その負担はむしろ増えると言われています。
デスクワークで腰が痛くなるのは、こういう事情もあります。
痛みが動きと結びついていて、楽な姿勢を取れば軽くなる。
その範囲であれば、体の使い方を見直していくところから始められます。
もちろん、お尻の上あたりまで響くことはあります。ただ、それが膝の下まで届くようなら、話が変わってきます。
そこから先は、神経が関わっている可能性が出てくるからです。
坐骨神経痛は、どういう状態か
坐骨神経は、体のなかでいちばん太い末梢神経です。
太いところで、親指くらい。
腰の骨から出た神経がお尻のあたりで束になり、太ももの裏を通って、ふくらはぎ、足先まで下りていきます。
この長い通り道のどこかで、神経が圧迫されたり引っぱられたりすると、症状が出ます。
ここが大事なところで。
症状が出るのは、圧迫されている場所とはかぎりません。
神経は一本の線としてつながっているので、腰のあたりで押されていても、感じるのはふくらはぎだったりします。
だから「ふくらはぎが痛い」と言って来られた方の話を聞いていくと、腰から来ていた、ということが起こるんです。
感じ方も、腰痛とは違います。
ビリビリする。じんじんする。電気が走るような。焼けるような。
しびれや、感覚の鈍さをともなうこともあります。
そして、片側だけに出やすい。左右そろって同じように出ることは、あまりありません。
なお、坐骨神経痛の背景には、腰の骨と骨のあいだのクッションが飛び出しているもの、神経の通り道が狭くなっているもの、お尻の筋肉のあたりで神経が締めつけられているものなど、いくつかの状態があります。
どれにあたるのかは、画像を見ないと分かりません。
そこは医療機関で調べてもらうところになります。
見分けるときの手がかり
自分の状態を整理するための目安です。判断をするものではありません。
| 腰痛 | 坐骨神経痛 | |
|---|---|---|
| 痛む範囲 | 腰のあたりで完結する | お尻から脚へ、線のように伸びる |
| 膝から下 | 出にくい | 出ることが多い |
| 感じ方 | 重い、だるい、詰まる | ビリビリ、じんじん、電気が走る |
| しびれ | 少ない | ともなうことが多い |
| 左右 | 両側や中央も多い | 片側に出やすい |
| 咳・くしゃみ | 響きにくい | 響くことがある |
いちばん分かりやすいのは、膝から下に症状が出ているかどうかだと思います。
腰の痛みだけなら、腰痛として考える。
お尻から太ももの裏を通って、ふくらはぎや足先まで何かを感じるなら、神経が関わっている可能性を考える。
もうひとつ、咳やくしゃみで脚に響くかどうか。
お腹に力が入った瞬間に脚のほうへズンと響くようなら、神経の根もとが関わっていることがあります。
これは自分でも気づきやすい手がかりだと思います。
それと、どの姿勢で楽になるか。
前にかがむと楽なのか。反らしたほうが楽なのか。歩いていると出てくるのか、しばらく休むと落ち着くのか。
これらは自分で結論を出すためのものではありません。
ただ、受診したときに伝えられると、話が早く進みます。
痛みは、その場で再現できないことが多いもので。診てもらう日にかぎって調子がいい、ということもよくあるんです。
気づいたときにメモしておくと、そのまま持っていけます。
すぐに医療機関へ、というサイン
ここだけは、迷わずに読んでください。
次のようなときは、様子を見ずに医療機関を受診してください。
- 尿が出にくい。もれる。便のコントロールがしづらい
- 股のあたり、椅子に座って当たる範囲の感覚が鈍い
- 両脚にしびれや力の入りにくさがある
- 足首や足の親指が上がらない。歩いていてつまずくようになった
- 安静にしていても強く痛む。夜、痛みで目が覚める
- 発熱をともなっている
- 転んだ、ぶつけた、事故のあとから始まった
上の3つは、とくに急ぎます。
脅かしたいわけではありません。坐骨神経痛の多くは、そこまでのものではないからです。
ただ、こうした形で出ているときは、時間が結果を左右することがあって。
そういうときに「もう少し様子を見ようか」となってしまわないように、書いておきます。
どちらか分からないときは
ここまで読んでも、はっきりしない方は多いと思います。
それでいいんです。
というより、自分で見分けきる必要はありません。
大事なのは、区別することそのものではなくて、脚に症状が出ているかどうかに気づいておくこと。
そのうえで、こう考えてもらえたらと思います。
腰だけが痛くて、動けないほどではない。数日で少し軽くなってきている。
そういうときは、体の使い方を見直していくところから始められます。
一方、脚に症状が出ている。しびれがある。前より範囲が広がってきた。
このときは、まず医療機関で調べてもらうのが先です。
何が起きているかが分かってから、体を整えていくほうが、遠回りになりません。
そして、前の章に挙げたサインがあるとき。
これは今日の話です。
まとめ
長くなったので、整理します。
坐骨神経痛は病名ではなく、症状につけられた名前でした。だから腰痛と並べて「どちらか」を選ぶものではありません。
見分けの目安になるのは、膝から下に症状が出ているかどうか。そして感じ方が、重だるさなのか、ビリビリするものなのか。
坐骨神経は長い神経なので、感じている場所と、原因になっている場所が離れていることがあります。
自分で結論を出す必要はありません。
まずは、脚に何か出ていないか。そこだけ確かめてみてください。


