三陰交(さんいんこう)|“女性の味方ツボ”を徹底解説

こんな症状続いていませんか?

  • 冷え性で、手足がいつも冷たい
  • 生理のたびにお腹や腰がつらい
  • むくみやすく、足がだるい
  • 更年期に入ってから、感情の波が激しい
  • 妊娠しづらい、体が整わない感じがある

こうしたお悩みは、「女性なら仕方ない」「年齢のせいだから」と、つい片づけられてしまいがちです。
でも、あなたの体が伝えているその違和感――実は、体の中を巡る“気・血・水”のバランスが崩れているサインかもしれません。

東洋医学では、「冷え」や「むくみ」、「月経の不調」や「感情の波」は、体の中を流れる“陰”のめぐりが滞っている状態と考えます。
それを整えるカギとなるのが、三つの陰の経絡が交わるポイント――「三陰交(さんいんこう)」というツボです。

三陰交は、足元にある小さなツボですが、女性の一生に寄り添うように、
思春期から更年期、そしてその先まで、心と体をやさしく支えてくれる力を持っています。

この記事では、東洋医学と現代の視点から、そんな三陰交の秘密と活用法をわかりやすくお伝えしていきます。

目次

三陰交(さんいんこう)とは?|ツボの基本情報

ツボの位置と取り方|三つの“陰”が交わるツボ

三陰交(さんいんこう)は、足の内くるぶしから指4本分ほど上にあるツボです。
骨のすぐ後ろ、ふくらはぎとの境目にある少しへこんだ部分が目印になります。

このツボは、「足の太陰脾経(ひけい)」という経絡に属しているのですが、
それだけでなく、肝経・腎経という、女性の健康に深く関わる2つの経絡とも交わる場所
つまり、「脾・肝・腎」――三つの“陰の経絡”が交差する、特別なポイントなのです。

▶ 正しい取り方のコツ:

  1. 椅子に座り、足を軽く前に出します
  2. 内くるぶしの一番高いところに、反対側の手の小指をそえます
  3. 小指から人差し指まで、指4本をそろえて置いたとき、人差し指の位置が三陰交のあたりです
  4. 骨のすぐ後ろを指で軽く押して、「少しズーンと響く」感じがあれば正解です!

ツボの分類と意味|陰のめぐりをつかさどる交差点

三陰交(さんいんこう)は、足の太陰脾経(ひけい)に属するツボですが、
それだけでなく、肝経(かんけい)・腎経(じんけい)という、女性の体にとって極めて重要な2つの経絡とも交わる、特別な位置にあるツボです。

この3つの経絡はすべて「陰経(いんけい)」に分類されており、
それぞれに以下のような働きがあります。

  • 脾経:血や水の“生成と運搬”をつかさどり、栄養と潤いを全身に届ける
  • 肝経:気や血の“流れ”を管理し、感情や月経、自律神経の調整にも関与する
  • 腎経:生命力の根本「精(せい)」を蓄え、生殖やホルモン系、成長・老化に深く関係する

三陰交は、この3つすべての流れが交わる“交差点”であり、
血・水・ホルモンといった女性の健康を支える根幹のバランスを整えるツボとして非常に重宝されてきました。

東洋医学における「女性のための万能ツボ」

東洋医学では、女性の体は「陰(いん)」の性質が強く、
そのバランスが崩れると、「冷え」「月経不順」「むくみ」「不安定な感情」などの不調が起こりやすいと考えられています。

三陰交は、その“陰のめぐり”を整えるために最適なツボです。

たとえば——

  • 脾の力が弱れば:栄養が足りず、疲れやすく冷えやすくなる
  • 肝の流れが滞れば:イライラや月経不順、気分の波が大きくなる
  • 腎の精が不足すれば:妊娠しにくい、老化が早まる、更年期症状が出る

このような状態を三陰交で調整することで、体と心の土台がしっかりと整い、自然と回復する力が引き出されていくのです。

だからこそ、三陰交は「女性ならまずここを」と言われるほど、
思春期・妊娠・産後・更年期など、すべてのライフステージに寄り添ってくれるツボとして、古くから大切にされてきました。

三陰交が効く理由|「血の不足」と「水の滞り」にアプローチ

三陰交(さんいんこう)は、女性特有の不調に対して幅広く使われる代表的なツボです。
とくに「冷え性」「むくみ」「月経トラブル」「感情の波」「妊娠しづらさ」などに対して、その効果を実感される方が多いのはなぜでしょうか?

その理由は、三陰交がつながっている脾・肝・腎の経絡の働きにあります。
これら3つの経絡は、東洋医学において血・水・ホルモンのバランスを整える主役とも言える存在。
この3つがうまく働くことで、女性の体は自然に整い、心も落ち着いていくのです。

冷え・むくみ・月経トラブルが起こる東洋医学的な背景

東洋医学では、女性の体は「陰」が多く、冷えやすく、水分が滞りやすい性質を持つとされています。
また、月経という定期的な出血があることで、「血」の不足(血虚)も起こりやすくなります。

  • 血が足りないと… → 月経が不安定になり、疲れやすく、心も不安定に
  • 水が滞ると… → むくみや冷えが生じ、体がだるく重くなる
  • 気が詰まると… → 月経前にイライラしたり、腹部が張ったり、頭が重くなる

こうした状態は「体が整っていない」のではなく、気・血・水の流れや量がアンバランスになっているという体からのサイン。
三陰交は、この気・血・水のバランスを「陰」側からやさしく整えていくツボなのです。

なぜ“妊活”や“更年期”にも使われるのか

妊活においては、「血と腎のエネルギー(精)」がしっかり満ちていることが、妊娠のための体づくりに欠かせません。
三陰交はその「血と精」を養う働きがあり、冷えや生理不順を整えるだけでなく、妊娠に向けた“土台づくり”としてよく使われます。

また、更年期に入ると、加齢によって腎の力が弱まり、ホルモンバランスが乱れやすくなります。
のぼせ・ほてり・感情の不安定さ・不眠など、さまざまな症状が現れやすくなるのはそのためです。

三陰交は、この「陰の不足」や「気血のアンバランス」をやさしく補い整えるツボとして、
更年期の心と体を穏やかに支えてくれます。

他のツボとの組み合わせ|“脾・肝・腎”の調整パターン

三陰交(さんいんこう)は、それ単体でも非常に効果的なツボですが、
体質や症状に応じて、他のツボと組み合わせることでさらに効果が引き出されるという特徴があります。

とくに三陰交は、「脾・肝・腎」の3つの陰経に関わるツボであるため、
それぞれの臓腑にアプローチできるツボと組み合わせることで、女性の体の根本的なバランス調整が可能になります。

ここでは、臨床でもよく用いられる3つの代表的な組み合わせをご紹介します。

◆三陰交+太衝(たいしょう) 

肝脾の気血調整|ストレス・月経不順・情緒の不安定に

この組み合わせは、「気と血の流れ」が滞っているタイプに向いています。
現代女性に多いのが、「ストレスでイライラしているのに、冷えている」「感情を押し込めているうちに体も硬くなる」といった状態です。

  • 太衝(たいしょう)は、肝経の原穴であり、肝の“気の詰まり”をほどく代表的なツボ。
     感情の抑圧・怒り・イライラといった精神的ストレスによる気滞に強く作用します。
  • 三陰交(さんいんこう)は、脾を補って血を養いながら、肝と腎にも作用し、全体のめぐりをなめらかに整えてくれます。

この2つを組み合わせることで、「感情のつかえ」と「血の不足」の両方にアプローチできます。

▶ なぜこのツボを使うのか?
東洋医学では「肝は疏泄をつかさどる=流れをよくする」臓であり、感情や月経の調整にも関わっています。
肝が詰まると脾の働きも落ち、血が不足しやすくなります。
このツボペアは、まさにストレスによる“気滞”+“血虚”タイプの月経不調や情緒の不安定に適した処方です。

◆ 三陰交+関元(かんげん)

腎気を補う・下腹部を温める|冷え・妊活・更年期ケアに

この組み合わせは、「体のエネルギーそのものが足りていない」方に向いています。
冷え、疲れ、生命力の低下といった症状が見られる方におすすめです。

  • 関元(かんげん)は、任脈の要穴で、腎気(生命エネルギー)や“精”を補う作用があり、体の底から力を養ってくれるツボです。
  • 三陰交は、腎をはじめ、脾や肝の陰を補いながら、下腹部の血流と温かさを取り戻す働きをします。

▶ なぜこのツボを使うのか?
東洋医学では、妊娠力や女性ホルモンのバランスは「腎の精」と深く関係しており、冷えや虚弱、月経の乱れもこの“腎の力不足”から生じると考えます。
関元で腎を補い、三陰交でその働きを支えることで、妊活や更年期といったライフステージ特有の不調を根本から整えていくことができます。

◆ 三陰交+陰陵泉(いんりょうせん)

水の代謝促進・むくみ体質の改善|下半身太り・冷え・疲れやすさに

この組み合わせは、「体に水がたまりやすい」「排出がうまくいかない」タイプにぴったりです。
とくに、下半身に冷えやむくみが集中する人に効果的です。

  • 陰陵泉(いんりょうせん)は、脾経に属し、水の代謝をつかさどるツボ。
     体に余分な水がたまって重だるさや冷えを感じるときに効果があります。
  • 三陰交もまた、脾と腎に作用し、水の代謝・排出を促進しながら体の内側を整えてくれます。

▶ なぜこのツボを使うのか?
東洋医学では、「脾が弱ると水がたまりやすくなる」とされます。
また、腎が冷えると、下半身の代謝も低下し、むくみや冷えが慢性化します。
このツボの組み合わせは、脾と腎を同時に整えることで、水の流れを回復させる処方といえるのです。

まとめ|やさしく、からだと向き合う時間を

三陰交(さんいんこう)は、小さな足の内側にあるツボですが、
女性の体と心の変化にそっと寄り添ってくれる、大切な場所です。

冷え、むくみ、月経の悩み、更年期の不調……
「仕方ない」とあきらめずに、まずはご自分のからだにやさしくふれてみてください。

不調は、“がんばりすぎた体からのサイン”かもしれません。
三陰交を通じて、自分の内側に少し目を向ける時間が、
きっと、明日の軽やかさにつながっていきますように。

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